花火が夜空に散って消えるみたいに、想いも消せたらよかったのに。

生きたいって想いも、死にたくないって想いも。

生きた意味を見つけて、悔いなく死ねるようになりたいって想いも。


それどころか、いっそ、君を好きだって想いすらも。


でも、そんな風に想いが消えたら、何もかもなくなって生きていけなくなってしまうから。やっぱり、俺は何があっても、そんな数々の想いを胸に留めて、嘘を付き続けるんだと思う。


たとえそれでたくさんの悔いが残って、生きた意味が見つからなかったとしても。

――だって俺は、お前が笑えば、何でもいいんだから。

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アイスを食べてから、俺達はまた、水族館を回った。


水族館のある程度奥に差し掛かると、アシカやアザラシ。あるいはペンギンなどが、水の上に氷を張ったブースにいるところに出くわした。

「うわっ、ペンギンだー。可愛い。奈々絵ー写真撮ろうよ!!」


「……ん」

「ハイ、チーズ」

恵美に携帯を渡され、潤は迷いなくシャッターを押した。

氷の世界を背景に撮ったその写真の中で、恵美のオレンジ色の髪は、太陽の光に反射して、キラキラと煌めいていた。