仮面が剥がれ落ちる感覚がした。 偽善という仮面。乃ち、偽りの善良の心。 君が幸せになるためだと、無理矢理頭の中でそう納得させて、俺は嘘を付き続ける。 嘘なんだから、こんなものは偽り以外のナニモノでもない。 ガラスよりも分厚く、けれど、壁よりも薄く作ったそれは、案外簡単にヒビ割れて、徐々に剥がれ落ちる。 着々と。 けれども、しっかりと確実に。 そして、涙がとめどなく溢れるくらい悲劇的に。