恵美は、俺の生きる意味を探すのに、随分協力的だ。


本当に俺が探してるのは、生きる意味なんてものではなくて、生きた意味なのに。
ただ、罪悪感が募った。

「……ごちそうさま」


食べ終わると、俺はテーブルの上に置いていたポーチとまだ水の入ったコップを持って、ベランダに向かった。


窓を開けてベランダに入った俺は、カーテンを閉めて、ゆっくりと窓を閉めた。


薬を口に含ませると、コップに入れた水と一緒に、俺はそれを飲み込んだ。


「う……っ!」

唐突に胸痛が押し寄せて、手からコップが滑り落ちた。


コップは、ベランダの中央にあったテーブル
の上に、音を立てて着地した。


胸の痛みよりも、われなかったことにホッした気持ちの方が大きかった。


もしわれた音で、恵美に体調が悪いのを勘づかれたらと思うと、そう感じずにはいられなかった。