「ああ、約束な。絶対やろう」

「ん、約束」


花火をしようといっても、煙を吸ってはいけないから、美弥香が花火をしてる姿を、通話越しに眺めることになるんだろう。

そんな事実に、嫌気が差した。


そして、そこまでしてやりたいと考える大馬鹿者の自分にも。


――本当に、馬鹿だよ俺は。何も聞かずに、それに付き合おうとしてくれる美弥香も。

二人とも大馬鹿だ。

「……美弥香、俺、お前に出会えてよかった」

馬鹿な親友に、俺は初めて、素直にそう言った。呼吸困難が起きた後だったから、声は掠れていた。それでも、俺は噛み締めるように、ゆっくりと言葉を紡いだ。


「ああ。俺も、お前に出会えてよかったよ。……奈々絵、俺を共犯者にしてくれてありがとな。また、何かあったら電話しろよ。いざとなったら駆けつけてやるから」

「……うん」


嬉しそうに笑った美弥香の声に頷いて、俺は電話を切った。


――俺は、絶対に生きた意味を見つけてみせる。


共犯者の美弥香のためにも。