俺が空我が泣いてたのに気づいたのは、もう自分に大した未来がないからだよって、そう隣にいた恵美に言いたくなった。


「……っ!」

――やめろ。

無意識のうちに開いていた口を、俺は噛み締めた。


隠し通すと決めたのに、それが不安になると急に、愛する君に、全てを話したい衝動に駆られた。



そんなことをしたって、悲しませるだけなのに。


俺を真似して裸足になっていた彼女の足と、俺の足の上に波が押し寄せてきて、足が濡れた。


波の音がなくなると同時に、俺はそんな甘えた想いを、無理矢理頭の隅に追いやった。


――隠すって決めたのは自分なんだから、最期まで貫けよ。

そして、そう必死に自分に言い聞かせた。