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――生きた意味が見つからなくたって笑って生きていける人だって、この世にはたくさんいるんだろう。


後先考えないで生きることが、俺にもできたらよかったのに。


「マシュマロ焼けたよー」

「うまそー」


空に月が顔を出してからすぐに、恵美はそう言った。潤は焼きたてのマシュマロを見て、嬉しそうに口元を綻ばせた。


「柔らかっ!?」

一番にマシュマロを口に運ぶと、空我はそう言って、口の中で熱々のマシュマロを踊らせていた。

「んー美味しっ!!」

「ほんとほんとー!」
マシュマロを食べながら、純恋と恵美は楽しそうにはしゃいだ。

お腹がいっぱいになった俺は、バーベキューを楽しむ空我達を眺めがら、階段を降りてベランダを出た。グリルから立ち上る煙を避けながら海に近づくと、俺は靴と靴下を脱いで、裸足で海に入った。


「なーな!!」

「うわっ、恵美!」

後ろから恵美に抱きしめられて、俺は前につんのめって、倒れそうになった。


どうにか踏みとどまると、すぐに、開けていた口の中に、恵美は後ろからマシュマロを放り込んできた。

「あつッ!?」

「あはは!奈々絵大げさー。本当に、猫舌だよね」

片手でマシュマロが刺さった棒を持つと、俺は慌てて、マシュマロから口を離した。片手にタオルを持って隣に立っていた恵美は、それを見て、可笑しそうに笑った。