「――うるさいっ!俺の気持ちなんて知りもしないくせに、好き勝手言うんじゃねぇ!!」


顔を俯かせて、今にも泣きそうな声で空我は言った。声も体も、空我は酷く震えていた。

「……知ってる。愛されないのがどんなに辛いかなんて、人一倍知ってるよ。

空我、――俺も、お前と同じように、ずっと愛されてこなかった。でも、俺はお前らに愛されて、生きたいと思った」


そう願ってしまったからこそ、俺は悔いなく死ねるように、こんな体でも生きた意味を見つけたいと思ったんだ。


10年に及んで虐待を受けた空我の人生は、酷いなんてそんなありふれた言葉では表現できないほど、悲劇に溢れている。


俺はそんな空我の人生を、本気でハッピーエンドにしたいと思ったんだ。



頼まれてなくても、俺は空我を救い出すよ。
――俺を救ったのは、空我だから。
――たとえ空我に、幸せになる気がなかろうとも。