「赤羽くん、君がどうしても嫌だって言うなら、こちらも無理に手術をする気は無いよ。でも、よく考え欲しい。

 確かにリスクはあるけど、最悪の場合、1ヶ月も経たずに亡くなってしまう可能性もあるけど、それでも手術をしたほうが悔いなく死ねると思う。

 やれるだけのことはやったと、そう考えられるハズだから」


「確かに、そうかもしれませんね……」


 俺は先生から目を背け、やせ細った自分の体を見ながら言った。


 脳挫傷になってるのがわかったのは、中一の6月だった。それまでは複雑骨折した足の治療とかばかりしてたから。6月に脳挫傷が起きてるのがわかったんだ。



 俺はそれから、不意に襲ってくる吐き気とかそういう病気の症状にひたすら耐えて日々を過ごしてきた。


 手術をすれば、それに耐える必要もなくなるんだろう。



 でも、それでも怖いものは怖い……。


「どうする? 赤羽くん」


「……すみません。先生、1週間だけ待ってくれませんか。それで答えを決めます」


 先生に頭を下げて、俺は言った。


「……わかった」