空元気なのに気づいてない振りをして、恵美は俺の顔を覗き込んだ。
「ああ」
「俺もいいけど、奈々絵煙とか平気なのか?」
「ん、離れてれば平気だよ。1階のベランダで焼けるの待ってるから、恵美が持ってきてくれればいい」
心配そうにそう言った潤の顔を見て、俺は頷いた。
「でも、それだと奈々絵つまらなくない?」
首を傾げ、恵美は俺を見た。
「……そんなことないよ。お前らといるなら、何してたって楽しいからな」
そう言って、俺は笑った。――それは、本心だった。――だって、その確信があったから、俺は五人で旅行をしようと思えたのだから。
「そっか!ならよかった!!」
“バーベキューの時、空我と話したらいいんじゃない?”
恵美は小声でそう俺に耳打ちすると、元気よく笑った。
“頑張って”
口パクでそう言って、恵美は笑った。不器用で、親友の本音を聞き出すこともなかなかできない俺に、彼女は確かなエールを送ってくれていた。