「馬鹿。……そういうのは、生きる意味がちゃんと見つかってから言えよな。まだ全然見つかってねぇんだから、先にお礼なんか言うな」


奈々絵の肩を叩いて、潤は言った。



「……空我も、生きる意味見つけないとダメなんだからな?」


「……うん」



母の不倫相手として生まれた俺には、生かされた意味がない。それならばせめて、生きる意味だけは、意地でも見つけたいと思った。

母親のことなんて考えてないで早く生きる意味を見つけたいのに、それができないのが後ろめたくて、声が小さくなった。


「……ああ。みんな、生きる意味見つけないとだな。もちろん、潤もだからな?

――決められたレールの上を人形みたいに歩いてたって、つまんないんだからよ」


奈々絵はそう言って、楽しそうに笑った。