「――出来損ないのあんたなんか、死ねばいいのよ」

母親は俺の体を海に押し付けて、そう言った。

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「――空我、空我!!」

誰かに体を揺さぶられて、俺は目を覚ました。
潤は窓際にいた俺の顔を覗き込んで、心配そうに俺の顔色を窺った。

「……大丈夫か?すっげぇうなされてたけど」

隣にいた奈々絵も、自分は病人のくせに、やけに心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。

「……別に、平気だよ」

俺はそうつっけんどんに返して、窓から見える景色を眺めた。


俺たちは今、金持ちの潤達の家の家政婦さんが運転する七人乗りの車で、海に向かっているところだ。

社長令嬢として生まれた潤と恵美の家は、超がつくほどに金持ちだ。七人乗りの車があるだけでもすごいのに、これから行く海には別荘があるっていうんだから、本当に凄い。

そんな高級な車の窓からは、東京から二時間ほどで着く海が徐々に顔を出していた。