「……奈々絵は何があっても、君を死なせないと思うけどね?もし君が天国に来たら、無理矢理にでも追い返すだろうさ」

得意げにそう言って、爽月さんは笑った。

「アハハ!うん、そうだね!!」

私もそれに賛同して、思いっきり、声を上げて笑った。


……ねぇ奈々絵、君が亡くなってから、7年が経ったよ。

時々不安になる。私達が一緒に必死で楽しんだあの旅行は、もしかしたら、最初から行かなかった方がよかったのかなって。


でも、そんなことはないよね?……だって奈々絵は、あの旅行があったから、死にたくないと思ったんだもんね。


空我のことなら心配しないで。あの子は君の日記のおかげで旅行のことも、母親に殺されかけた記憶も全部思い出して、辛いことも受け入れて、一生懸命生きてるから。


彼のそばには、潤も純恋も。それに、あたしと爽月さんと美弥香だっているから。




奈々絵、美弥香は、スクールカウンセラーの先生になったよ。




彼は今でも、あの時君に余命を教えたのは間違いだったのかって、よく考えてるみたい。



でも、間違いじゃないよね?だって君はきっと、あの検査の日に余命を知ったら、旅行に行こうとすらしなかったと思うから。