「……恵美、早く行こう。遅刻すると、奈々絵が怒る」


ノックもしないでドアを開けて、夫の爽月さんは言った。

私達はこれから、空我と美弥香と潤と純恋と一緒に、六人で、奈々絵のお墓参りをすることになっている。せっかくだから、子供達もお墓参りに行かせて、本当のお父さんの話にでも花を咲かせたいものだ。

「もう!ノックしないなんて、ちょっと失礼じゃない?本当に爽月さんて、そういう所誰かにそっくり!!」

そう言って、私は可笑しそうに、声を上げて笑った。

「今更言うなよ。恵美はそいつに俺が性格までそっくりだったから、俺に惹かれたんだろう?」


ナルシストみたいにそう言って、爽月さんは呆れたように笑った。


「違うよ。……爽月さんと奈々絵は、全然違う。だって貴方達は従兄弟でも、同一人物ではないもの。

私が爽月さんを選んだのは、貴方が私に、希望を見せてくれたから。爽月さんが、奈々絵の号哭を私に教えてくれたからだよ。……私今でも、あの日爽月さんに出会わなかったら死んでたと思うもの」


そう言って、私は困ったように笑った。