「花梨(カリン)ー、梨花(リンカ)、起きて」

私は、自分の部屋のベットで眠る二人の子供達の体を、ゆさゆさと揺すぶった。



ふと、私は壁に飾ってある額縁の中にある婚姻届を見上げた。婚姻届の1番上には、“I love you.See you again”と震えた字で、書かれている。そして婿の欄には、赤羽奈々絵という、今でも私が愛してやまない人の名前が書かれている。


奈々絵が私に残してくれたのは、数えきれないほどの愛と、それを込めた沢山の贈り物だった。


その婚姻届も、その中の一つだ。


私は婚姻届から目を離して、もう一度、子供達を見つめた。


この子供達は、その贈り物にあった奈々絵の体の一部を通して、私の体から生まれた。


紛れもない、私と奈々絵の子供だ。