10本 なぁ、笑えよ……たとえ、俺が死んでも。

本当は、あの夜、頬に手を当てると、虐待のことを思い出して涙を流した空我に、そう伝えたかった。もうすぐ俺は死ぬんだよって、俺が死んでも笑顔でいろよって。


酷くてごめん。最低で、ごめん……。月並みな言葉しかいえなくて、本当にごめん。


でも、それでも俺は、本当に大事だったんだ。お前らのことが。


11本 お前らが笑えば何でもいいと思った。


12本 本音を隠して、嘘をついたっていいと思ったんだ。


13本 でも、ダメだった。ついに限界になって、あの日俺は決めたんだ。――全て終わりにしようって。


14本 大好きな君に、サヨナラを告げて。


ありがとう。


誰にも愛されてなくて、それどころか、自分から人を愛することすらできなくて。この世の全てが汚く見えた俺に、君が教えてくれたのは、あったかいご飯だった。


殴られて、姉のお通夜の時に足元に捨てられた冷たいご飯よりも、君が作ってくれたご飯の方が数千倍も美味しいことを知った。


その味を忘れたことなんて、生涯一度もないよ。俺は本当に幸せだった。