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「恵美ー、誰か来たわよ!!」

私はお母さんの声を聞いて、慌てて部屋を出て、階段を降りて玄関に向かった。

「あの……?」

廊下の途中でお母さんとすれ違ってから玄関につくと、そこでは、死んだ彼とよく似た人が待ち構えていた。

赤紫色のような、ワインレッド色のツヤのある髪。それに、ほんの少し吊り上がった二重の瞳。女の子のようにながくて、鮮やかにカールしたマツゲ。そして、陶器のように白い肌。

その人は170越えの身長と、やせ細った奈々絵と違って少し男らしい肉体を覗けば、香りだけでなく、容姿ですらも奈々絵そのものだった。

「突然お邪魔してすみません。初めまして、私、奈々絵君のいとこの赤羽爽月と申します。奈々絵君が、恵美さんにこれを贈るようにと」


ペコッと浅いお辞儀をしてから、片手に持っていた花梨の花束を私に差し出して、爽月さんは言った。


メッセージが書かれた包装紙は、まるで水に濡れたかのように、びしょびしょになっていた。


私はそれの辛うじて読める部分を、どうにか目を凝らして読んだ。