その次の日から、私はいつも通り、息を吸って吐いて過ごせるように振舞った。


「おはようございます、お母様!!」

「……おはよう、恵美」


私がそう言うと、お母さんは穏やかに笑った。

勢いよく声を上げて挨拶をして、あからさまなくらい、元気よく笑った。そうやって、笑顔を取り繕って、夜になると、独りで泣いた。


自宅の自分の部屋に閉じこもって、一晩中。


翌朝になると、私はけたたましいアラームの音を聞いて、目を覚ました。目を覚ましてすぐに整理タンスからタオルを取り出して、それを水で濡らして、目に当てた。


そうして、真っ赤に腫れているのがバレないように、弱い自分を必死で隠して、学校に向かった。


毎日毎日、彼が生きていた頃と同じように、元気に振る舞えるように、細心の注意を払って。


そうして、やけに長い1日を過ごすようになってから、三日が過ぎた頃だった。

ピンポーン。

「すみません、こちらに、日比谷恵美様はいらっしゃいますか?」

彼の髪色の香りと同じ、上品な薔薇の香りを漂わせた誰かが、私の家を訪ねてきたのは。