【恵美side】 雨が降っていた。空にではなく、自分の心に。 空は快晴なのに、心の中には、大雨が降っているような気がした。 「……奈々絵」 喪服を着た私の目の前では、葬式が執り行われていた。 私は、まさに今この瞬間、棺の中に入れられた人の名前を確かめるように呟いて、ただ涙を流していた。 ……今も信じられない。 彼が死んでしまったなんて。