「――誰もお前みたいなめんどくさい奴から離れる気なんてねぇよ!もちろん、奈々絵もな?」

ドア越しに、誰かがそう大声を発した。

「え……?」

それはまるで、光のような言葉だった。


戸惑った顔をした俺から離れて潤がドアを開けに行くと、そこには美弥香がいた。


「……空我、これお前にやるよ。今じゃなくていいから、いつか、奈々絵がいなくても生きていこうって、そう思えるようになったら開けろよ。


――俺はお前に、これをどうしても見て欲しいんだ」


そう言って美弥香は、奈々絵の肩身のノートパソコンを、俺に手渡してきた。


「……いや、今見る」


俺は廊下の床に座り込んで、受け取ったそれを、すぐに開いた。