ピンポーン。
家のインターホンが鳴って、潤が帰ってきたのがわかった。
「お帰りー、潤!」
部屋を出た俺は、階段を降りて玄関に行くと、空元気みたいに大きな声を出して言った。
「おー、ただいま。……空我ぁ、お前また学校行かなかっただろ?」
片手に買い物袋を持っていた潤は、俺と目が合うと、そう言って、意地悪そうに微笑んだ。
「……さぁな。そんなことより、飯作れよ潤ー!腹減った!」
潤の言葉をはぐらかすように、俺は声を上げた。それから俺は、靴を脱いで廊下に上がってきた潤の背中を押して、台所まで引きずり込んだ。
「……空我、もう一週間だぞ」
「……まだ一週間だ」
呆れたようにそう諭す潤を、俺はただ否定した。
……まだなんだよ。まだ奈々絵が死んでから1週間しか経ってない。
そんなんで受け入れられたら、苦労しないんだ。
「……無理なんだよ。
あいつがいない世界で生きろだなんて」
苦虫を噛み潰したような顔をして、俺は言った。