「アハハハ!それ、お前完っ全にトバッチリじゃん!!」


病室で目を覚ましてから間もない頃に、俺が家族の葬式で親戚に暴力を振るわれ、暴言を吐かれたことを告白すると、空我はそう言って、可笑しそうに笑った。

「……笑うなよ。結構ショックだったんだから」

「……そうだよな。傷つくのって、いっつもされる側だけだよな。

……親も親戚も、そういうの全部めんどくさいよな。……俺達はそいつらがいなくたって生きていけるのに、知らぬ間に縛られて、やることとか決められて」


そう言って、空我は俺の病室のカーテンを開けて、窓の近くで、頬杖をついた。


空我が窓を開けると、快晴の空のように青い肩まで伸びた髪が、風で揺れた。そして、頬杖をついた空我の首筋から、赤紫色の痣と、ハサミかカッターで切りつけられたような、深い切り傷が見えた。


「お前、それって……」


「……昔、母親にやられた。俺って、不倫で生まれた子供なんだって。それで母親には毎日のように生まなければよかったって言われて、ずっと暴力奮われてる。お前に出会う前までは、自分の部屋の前の廊下にバリケード作られて、一週間食事も与えられずに閉じ込められてた。

……お前と似たようなもんだよ」


俺の方に振り向いて、空我はそう雑に吐き捨てると、困ったように笑った。