「……何かあったら連絡しろ。お前はたった1人の大事な従兄弟なんだ。手ぐらい貸してやるよ。

……奈々絵、今さら遅いって思うかも知んないけど、あの時はごめんな。俺は父さんと母さんが怖くて、お前を庇うことすらできなかった。紫苑には、私に何かあった時は奈々絵を頼むって散々言われてたのに、本当に情けないよな……。すまなかった。


……俺はお前みたいな秀才が従兄弟でよかったよ。
それだけは確かだ。じゃあな」


そう言って、爽月さんは、満足そうに微笑んで去っていた。

「さっ、爽月さん!!」

俺はその後ろ姿に、慌てて声をかけた。

「爽月さんを恨んだことなんて、一度もないよ!!ありがとうっ、……手紙を届けてくれて」


俺の方に振り向くと、爽月さんは一度驚いたかのように目を見開いた後、さぞかし嬉しそうに笑って、階段の方に歩いていった。