「おはよう、赤羽くん」

社交辞令のような空我の父親のアビラン先生の声を聞いて、俺は目を覚ました。

「……おはようございます」

ふぁーっと欠伸をして、俺は上半身をベットから起こした。

「今日は天気がいいよ。こんな日は朝日でも浴びたいな」

窓にかかったカーテンを開けて、先生は言った。

「……そうですか」

晴れ渡った群青色の空に見向きもしないで、俺はそう言った。

今日は3月31日。空我達と分かれてから、早くも三日が経った。

――俺のタイムリミットは、早くてあと一週間だ。もう俺は体に負担がかかるからと、長時間ろくに歩くこともできなくなっていて、車椅子生活を強いられていた。

三日前、俺はあの後、あのまま明け方まで車で待っていてくれた先生にまた送ってもらって、地元の前の病院まで戻ってきた。


あの日以来、俺は空我達にはもちろんのこと、共犯者だった美弥香にすら一度も会っていない。