「アハハハハっ、ハハ……っう、うっ、うあ……っ」

真夜中、病室の廊下で一人、俺は泣き崩れた。

どんなに笑おうとしても、涙は止まらなかった。

――死にたくない。

……死にたくないよ。

恵美のそばにいたいよ。空我の笑ってる姿がもう一度見たいよ。……見させてよ、お願いだから。


……花火したかったなぁ。

「ちくしょうっ!!!」

叫んだ。


消灯時間を過ぎていて、どうせ先生達にしか声が聞こえないのを言い訳にして、ありったけの想いで。


ポケットから携帯を取り出して、電源をつけると、待受には、一昨日のBBQの写真が表示されていた。


何でこんなのを待ち受けにしたんだろう。


……俺、すっげー未練がましいな。


……ん?


俺はそこでふとあることに思い至って、もう片方のポケットをまさぐった。


――薬のポーチがない。代わりにポケットにあったのは、別荘のドアと、寝室の鍵だけだった。


涙を拭い、俺は慌てて病室に戻った。


でも、薬の入ったポーチも、それを入れていたトートバッグも、病室の何処にも見当たらなかった。


――まずい。


トートバッグの中には、あれが入っているって言うのに。