俺は腕から点滴を外して、紙袋から取り出した服を一式を着ると、メッセージカードをゴミ箱に捨てて、病室を出た。


「……じゃあな、美弥香」

丸椅子に落ちていた美弥香の茶色い髪の毛を一瞥して、俺は病室のドアを閉めた。



すべての結末がこんなにも呆気ないなんて、思いもしなかった。


……手術したくないな。


――できない。


……死ににいけない。こんな腹づもりでは。


でも、行くしかないか……。



このまま病室にいたって、どうせ俺の心残りは消えないから。


それに、いつかは手術を受けなくちゃいけないんだ。……どうせ死ぬなら、最期の悪あがきくらいしよう。例え、死ぬとわかりきっているとしても。


そのためにもって必死で見つけた生きた意味は、ろくに叶いもしなかったけれど。