泣き止んだ俺は、帰り支度をしようと思い、ベッドから降りた。


早くここからいなくならないと、恵美達に会うことになりかねない。最悪でも、明日の始発の電車で行かないと。

「……っ!? なんで……っ」

病室の隅にあったクローゼットを開けると、そこには、見覚えのあるマークの書かれた、紙袋が置かれていた。それは、今日花見をした後に行ったブランドのマークだった。


紙袋の中から服を取り出すと、出てきたのはやっぱり、グレーのロングカーディガンに、冬ニット。それに、膝が破けた黒のダメージジーンズだった。

服を全部取り出すと、紙袋の中には、メッセージカードがあった。

“早く良くしてよね!言われなくたって置いてかないから!!恵美”


“早く良くなってね。良くなったらまた花見しようね。純恋”


“奈々絵、無理すんなよ。潤”

“何が置いてくなだよ!発作なんてさっさと治せよな!お前がいないとつまんないんだよ、バーカ!!空我”


バカ空我……。


俺がいなくなったって、どうせ、すぐに元気になるくせに。



いつもそうだ。お前らは勝手に俺の心を掴んで、離さない。




もう、全て手遅れになってしまったというのに。



大好きだったよ、恵美、空我。


潤、純恋、……恵美と空我を頼むよ。


多分もう二度と会うことはないだろうけど、どこかで見守ってるから……。