ポケットから携帯を取り出して、俺は恵美に電話をかけた。


「奈々絵っ!?どうしたの?体は大丈夫……っ!?」

必死な声を出して、恵美は言った。

「……れて」

――ごめん恵美。もう無理だ。

君に嘘をつき続けるのも、そばにいることも、何もかも。

「……え?」


「俺のこと、――――――」


掠れた声で、俺はそう言った。


初めて出会ったのは病院だった。


毎日毎日、くだらないことを話して笑いあった。


でもそれも、全て終わりだ。――もう二度と、君には会えない。




――会ってはいけない。



――もう二度と。