「奈々絵、本当にごめん!!」
美弥香はまた、俺に頭を下げてきた。
「―――ったら?」
小さな声で、俺は言った。
「え……?」
「……短かったら、どれくらいなんだよ」
投げやりにそう言うと、美弥香は悲しそうに顔を歪めた。
「……最悪の場合は、半月もないって」
顔を伏せて、美弥香は言った。
「はんつき……?」
確かめるように、俺は美弥香の言葉を繰り返した。また、鳥肌が立った。
「……ああ。……検査の翌日から数えると、後、十日もない」
――ガッシャーン!!
俺はベッドの近くの窓にあった花瓶を、美弥香に向かって投げた。
「……言いたいことは、それだけか?
――帰れ」
そして、美弥香のシャツの襟を掴んで、俺は責め立てるように言った。