片手で髪を引っ掻いて、俺は天井を見上げた。

昨日から、美弥香の考えてることがよくわからない。

あいつは昨日から、迷いがあるんじゃないかとか、悔いがなくなるのかとか、そんなことばっか聞いてくる。


はっきりいって、目障りだ。


――正論ばっかりで。


共犯者のくせに。


俺がいいなら反対しないって言ったくせに。


いや、……共犯者だからこそ、俺が心配なのか?


俺、美弥香に心配かけてばっかりだな……。


――自分の体に嫌気が差して、また自己嫌悪に襲われたその時、グラッと、頭が揺れたような気がした。

「お待ちのお客様どうぞ」

店の店員は、サラッと流すようにそう言って、俺達にお会計を済ませるよう促した。


「奈々……?」


みんなと同じようにレジに向かわずに、足を止めた俺を見て、恵美は、不安そうな顔をして振り返った。


「…っ、はぁ、はぁ……っ」


体がやけにだるい気がして、息切れが止まらなかった。

「奈々、大丈……きゃっ!?」

真ん前から俺の肩を揺さぶってきた恵美の胸に、俺は、殆ど倒れるような形で体を預けた。

「っう、う……っ、はぁっ、はぁ」


胸の絶え間ない痛みと呼吸困難に襲われて、俺は、必死で呼吸を繰り返した。