恵美にコーディネートされ、俺はグレーのロングカーディガンに、白ニットとダメージの黒スキニーを着せられた。
「うん。かなりイケてるよ、奈々絵。ねっ、みんなもそう思うでしょ?」
「うん、奈々かっこいい!」
試着室から俺が出てくると、恵美はそう言って、得意げに笑った。純恋はそれに、ウンウンと頷いていた。俺は思わず、ほんの少しだけ、頬が赤くなった。
「へー、似合うじゃん!」
「……そうだな、悪くない」
続けて俺を見た潤は、そう、感心した様子でいった。そして、空我は潤に賛同して、さぞかし得意げに笑った。
「……偉そうにいうな、泣き虫空我の癖に」
「昨日泣いてたお前に言われたくねぇよッ!?」
冷めた目でそういうと、空我は、非難の声をあげて抗議した。
「アハハ、悪い悪い!!」
空我の肩を叩いて、俺はまた、わざとらしいくらい元気よく笑った。
でも、今度は作り笑いじゃなくて、本心で。心の底から元気よく笑った。
親友の空我や潤。あるいは大好きな恵美や、友達の純恋に褒められたことを思うと、コーディネートされたのも悪くないと思えた。
――だってこれがきっと、お前らから聞く最期の褒め言葉だから。