そんな取り留めもない想いが、絶えず俺の頭の中を渦巻いていた。

「ねー、奈々こっち来てー!!」

レディースコーナーに恵美と行っていた純恋に服の裾を掴まれ、俺は、試着室の所まで連れてかれた。

空我達は、不思議そうな顔をして俺と純恋の後を着いてきた。

「……なんだよ?、純恋」

「んー?恵美が試着室で着替えてるから、奈々絵に見て欲しくて!!」

試着室に着くと、純恋はそう言って、楽しそうに、口元を綻ばせた。


――ガラッ。


「……どう、かな? 変?」


カーテンを開けて、恵美は試着室から出てきた。

「……いや、かっ、可愛い」


思わず、小さな声が漏れた。

恵美は白のニットワンピを着て、黒のニット帽をかぶり、同じ色をしたハイヒールのショートブーツを履いていた。


夕焼けのようなオレンジ色の髪をした恵美は、そのシックな色合いが、やけによく似合っていた。