失うとわかっていても君と出会って惹かれあったのが間違いだったというなら、いっそのこと、全部はじけて消えればいい。


夜空に浮かぶ花火や、流れ星みたいに。


なんの痕跡も残さずに。


逃げ出せればいい。何もかも捨てて。


終わりがない世界で君に出会って、永遠にも等しい、唯一の恋ができたら、ずっとずっと幸せだったのに。


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「服屋なんて始めてきた!!」

空我はブランド店の中に入ると、そう言って、物珍しそうに辺りをキョロキョロした。


花見が終わると、俺達は庭園のあったビルの3階にある、ブランド店に来ていた。

メンズのシューズや、あるいは冬物のニットやマフラーが売っているコーナーなどを行ったり来たりして、空我は、随分と楽しそうに笑っていた。

「ニットってこんなに種類あんだな!潤も見て見ろよ!!」

毛が多くてフワフワしてるものや、あるいは毛糸素材のニットなどを見ながら、空我は言った。

「……あれは犬か?」

「アハハッ!……そうだな、尻尾振りまいてはしゃぐ犬だ」

半ば呆れた様子で空我を眺める潤に、俺は笑いながら賛同した。