――ごめん、恵美。
本当は、味なんてろくにわからない。
塩分が多い甘いものなどを食べると、浮腫む箇所が増えて体に負担がかかって、合併症が悪化するんだ。
食べようとする前に、また発作が始まるんだって思うと、吐き気と恐怖心が押し寄せて、味なんて分からなくなる。
分からないから、せめてそれがバレないように、恵美の言葉に賛同するしかない。
――在り来りな感想しか言えない。
せっかくの恵美の手作りなのに。
本当にごめん、恵美……。
……大好きだよ、恵美。
例え、こんな体で君と生きた意味が、一生見つからなかったとしても。
本当に、好きだよ……。
好きだって想いだけは、まるでそれが当たり前かのように、一生消えることがない。
いつかそれすら、辛いと思ってしまう日が来るんだろうか……。