粥を口に運ぶと、すぐに卵の風味が口の中いっぱいに広がった。

「ん、上手い」

「ほんと?よかったー」


満足そうに俺が笑うと、恵美は、さぞかし嬉しそうに口元を綻ばせた。


「空我、……やっぱ俺のこと心配してた?」

お茶を一口飲んでから、俺は問いかけた。

「まーね。でも、気にしなくていいってあたしが励ましたら、すぐに元気になったよ」


「そっか……」

心の底から安心したように、俺は頷いた。

よかった。空我には、俺がいなくても元気でいてもらわなきゃ困るから。


……俺は、旅行をしている間しか空我を笑顔にできないんだから。本当に、よかった。


「うん。さっき買い物から帰ってきたから、今は、純恋の料理の手伝いはできないだろうから、……若しかしたら海にいるかも」


頬杖をついて、恵美は楽しそうに笑った。


「……え、海に?」


空我が、海に……?


予想外のことに狼狽えた俺は思わず目を見開いて、恵美の顔をのぞきこんだ。

「うん、潤が連れてってるんじゃないかな。本当に遊んでるかはわかんないけど」