「生きてる意味なんて、なくたっていーじゃん!お前が今まで会ってきた奴が全員、お前に出会わなければよかったって言ってんだとしたら、そいつら全員アホだよ。


……お前が死ななくてよかったって思うのが馬鹿な考えなら、俺は一生馬鹿でいいよ」


叫ぶように空我はそう言って、楽しそうに笑った。


……何も知らないくせに。


どうせわけを知ったら、手の平を返す癖に。


「……馬鹿だな、お前」

「バカで結構」

覚めた口調でそう言うと、空我は、自慢げに笑った。


――本当に馬鹿だよ、お前は。


生まれて初めて、“死ななくてよかった”って言われた。それが本当に信じられなくて、心の底から嬉しくて、今すぐにでも泣き出しそうになっている俺は、もっと馬鹿だ。


海の底のように真っ暗だった世界に、光が指した気がした。

姉が死んでから、“俺に未来なんてない”って、“お先真っ暗”だとばかり考えていたのに、そんなことはないと言われた気がした。


たったそれだけのことで、俺は、無性に泣きそうになった。



――なぁ、いつまでそう言ってくれる?


俺が罪人だと、人殺しだと知っても、お前はそう言ってくれるのか?


そう、言って欲しいな……。