――生きてることには、意味が無い。


どうせ死ぬ。


誰かと恋をして子供を産んだって、いつか自分も、交際相手も、それどころか、生まれた子供すらも死んでしまう。


何十年と生きたって、どうせ何も残らない。


そんなんで生きた意味があるなんて、ただの詭弁だ。


生きてることに、意味なんてない。


俺はただ、姉がいる世界で生きて、姉の隣で、いつまでも笑っていたかった。


そこに、意味なんてなくていいから。



理由なんてなくていいから、俺は姉に、ずっとそばにいて欲しかったんだ。



毎日毎日、俺の世話ばっかしてたバカ姉に、ずっとそばにいて欲しかった。


あの言葉と庇われたことしか記憶がなくても、肩身のカメラを見れば、姉が俺のそばにいてくれていたことだけは、よく分かった。

カメラには、姉が友達と映っている写真の背景と、俺が美弥香と映っている写真の背景が同じなのが、何十枚もあったから。それどころか、カメラにあった写真の殆どがそうだった。

――死なないで、姉ちゃん。


ずっとずっと、そばにいて欲しかった。



姉ちゃんさえいれば、生きた意味も、何もいらないから……。


本当に、それだけだったんだよ……。