当時の空我は、頬がコケた、細くて、弱々しい子供だった。


「……おい、起きろ」


自殺したせいで足が複雑骨折を起こしていたから、俺は手だけを空我にそっと近づけた。そして、両手で空我の肩を、ゆさゆさと揺さぶった。


「……ん?」

「あ、起きたな。……お前が、俺を助けたのか?」


「奈々!よかった、気がついたんだなー!」


目を覚ますとすぐに、空我は安心したように俺にぎゅうっと抱きつこうとした。

「……分かったから話を聞け。お前が、俺を助けたのか? お前みたいなガキが?」

俺はすんでのところで空我の両腕を掴んで、そう言った。

「ガキってなんだよ!俺はお前と同い年だ!

助けてやった奴にそういう言い方すんなよな!」


頬を膨らませて、拗ねたかのように空我は言った。