あの時の空我達は、あったかかった。


支えられた肩には、確かな温もりが存在していた。


――“死んだって構わない”なんて、そんなの本当は嘘だ。


できることなら、俺の分まで幸せを空我にあげることなんてしたくない。



できることなら、このまま三人で笑って、空我と幸せを分け合って過ごしていたい。


叶うことなら、空我の未来に、俺がいて欲しいよ……。


今すぐ、時間が止まればいい。


そうしたら、空我も潤も恵美も純恋も一緒に、五人で永遠の時を過ごせるのに。


でも、それは無理だから。


手術をしたところでどうせ治らないし、ただ早死するだけ。

万が一成功したところで、喘息が治らなきゃ一体何年生きれるかどうかすらわからない。


それならせめて、


――せめて空我を笑わせてから死にたいって、そう思ったんだ。


若しかしたらそれが、――俺の死ぬまでにしたいことで、生きた意味なのかもしれない。