――何も知らない、空我は。

プリクラ機の構成なんて、ゲーセンに行かなくても、ネットをみればすぐにわかるのに。

本当に、空我は何もかも欠落している。

俺達は敢えてそれに気づかないふりをして、いつも通りに振る舞うように努めた。


四人でお金を入れて、大人数プリを選択すると、すぐにプリクラの背景画面が表示された

「空我ー好きな背景ない?奈々絵も選んでよー!」

画面に表示されたハートや星柄などのさまざまな背景デザインを見つめながら、恵美は言った。

「へー、いろんなのがあるんだな!……これ、俺は結構好きだな」

あたかも夜景のように綺麗な星空のデザインを、うっとりとした様子で眺めながら、感心したように空我は言った。

「……そうだな。……綺麗かもな」

確かめるかのように小さな声を上げて、俺は空我の好みに賛同した。