田野君は息を思い切り吐いて、そのあとすうっと息を大きく吸い私を見た。
「じゃあ、行ってきます。頑張ってきます。」
田野君は私と三年生をおいて、コーチのところに向かった。

―ねえ、田野君のお母さん。いや…さくらさん。見た?今の。
田野君は、今回を通して、だいぶ成長してると思うよ。
だから、男女混合リレーも大丈夫。
これからはお母さんじゃなくて私が田野君を見守るから。
安心してください。―


心の中で会ったこともない、でも今日いるかもしれない、田野君のお母さんに話しかける。


私の中で、もしかしたら…という考えは確信に変わっていった。