「お化粧なんて…。
学生の頃は素のままが1番よ?」

机の上にお弁当を置いてくれる。

「だーめ!皆やってるんだから!きっと。」

ナチュラルメイクを、急いで進める。

「そういえば、いっちゃん外で待ってたわよ。
早く行ってあげなさい。」

台所に戻ると思い出したように言う母。

「樹が!?」

母の言う『 いっちゃん』とは、
幼稚園の頃からの仲で、家が隣という事もあり、
よく遊んでいた。

私はメイクを済ませて
弁当を持つと、玄関へ急ぐ。

玄関のドアを開けると。

「朝から元気で何より。」

腕組をして塀に、もたれかかっている樹がいた。

「ほんとに、待ってた…」