保健室でのあの出来事から、一週間が経った──。
“行くな”
“そばにいろ”
あの出来事がきっかけで、遥斗がどれだけ百合ちゃんが好きか………わたしは思い知らされた。
あの瞳も温もりも言葉も声も………すべてが百合ちゃんを好きだと叫んでた。
わたしは百合ちゃんと間違えられただけ………。
それなのに、自分を求めてくれたと勘違いして、はずかしい。ばかみたい………。
わたしが遥斗の心に入る隙間なんて、少しもないんだ。
この先も、ずっと………。
そしてこの先、遥斗と百合ちゃんはよりいっそう仲を深めていくんだ。
わたしの知らない遥斗を、百合ちゃんは知っていくことになる。
わたしのなかの遥斗の時間は………もう、止まってしまったんだ。
それが動き出すことは、もうない。
わたしはそれを………受け止めなければならない。
もう、心の隅で期待してはいけない。
遥斗はいつか、前の遥斗に戻ってくれるなんて、いつの日か、わたしのことを見てくれるなんて、思っちゃいけないんだ。
心のどこかでそんな期待をしているから、今こんなにも苦しいんだ──。