「…ごめん。心配させて、迷惑をかけて、本当にごめんなさい」
あたしは、琢磨の策略とはいえ、ここにいてはいけない人間。
それを忘れてはいなかった。
だけど。
こんなに心配をさせて、このままいなくなるなんて。
そんなこと、できるはずがなかった。
「和佳菜さん」
不意に、陽太があたしを呼んだ。
「なに?」
「和佳菜さんの居場所はいつだってここです」
「…え?」
「だから、琢磨さんの言葉なんか気にしないで、また遊びに来てください」
「そんな、の」
琢磨はあたしのことを大切に思ってくれている。
あれでも、多分。
だから、あたしがここに居れば、…琢磨は必ず連れ戻しに来る。
したっぱや、幹部を一人でなぎ倒して。
40過ぎのおっさんだけど、あいつの体力は計り知れない。
だけど、あたしにはやっぱりここが必要で。
大切な居場所なんだ。
琢磨は分かってくれるかしら。