「悪いが翔、全員を集めてくれ。影の人間も、任務にあたっているもの以外は全て集めろ」
「わかったけど、その人って」
翔の優しい眼差しが今のあたしには痛かった。
「いいから、早く」
「わ、わかった」
仁が急かすと、翔は急いでどこかに電話をかけはじめた。
「いいの?今日は平日よ。みんな授業じゃ」
あたしたちはゆっくりと歩き出す。
中には人が大勢いて、みんなあたしをというより、仁を見ている。
その視線に縮こまりそうになりながら、そっと疑問の言葉を投げた。
「姚島蒼井は授業だが、若宮は休みだ。今日は創立記念日らしい」
「姚島蒼井の人たちは?」
「授業サボるだろうな」
「そんな!それなら、放課後でも」
「あいつらも、それはそれで忙しい。任務を遂行の為にもこの時間に集まるのがベストだ」
「…まだ、やってるのね」
「ああ。人数はかなり減ったがな。そのうち消滅するかもしれん」
「減るって、…一体なにがあったの?」
仁が口を開こうとした時。
「和佳菜さん!」
懐かしい声が、遠くから耳に届いた。