「琢磨に知られたら、叱られるわよ」 「知ってる」 あたしは今、仁と並んで大きな建物を見ている。 「それどころか殴られるかも」 「予想の範囲内だ」 そして、あたしはここから動こうとしていない。 「死ぬ瀬戸際にくるかもね」 「…お前、おじのこと、どんな人だと思ってんだ」 何故って? それは。 「人を殺しそうで殺さない人」 「なんだそれ、結構怖いわ。てか、今関係ねえし」 この建物が、獅獣の倉庫だから。