「奇遇ですね、先輩。私もです」
心なしか、彼女は怒っているように見える。
だが、深く聞かずに、今日は部活を終えた。
次の日から、体育祭に向けての練習が始まった。
といっても、練習するのは応援合戦のダンスだけ。
ほかは、入退場と競技の方法だけで、実質一発本番。
「なあ、蓮知ってるか? はちまきって頭にするものなんだぜ」
色ごとに場所を移動し、練習する。
青隊は今日、体育館。
生徒が騒がしい中壁際にいたら、同じ青隊のあいつが絡んできた。
はちまき。
俺は頭になにかを付けるのが苦手で、首にかけていた。
「わかった。お前、はちまき巻けないんだろ」
……挑発しているつもりか。
乗る気はない。
「おいおい、これでも無視かよ……」
ああ、そうだ。
だから、諦めて俺に絡むな。
「無視するのはいいけど、蓮、サボるなよ」
……お前に言われる筋合いはない。