俺は知らない。
「浅賀先輩」
叶花の助けを求める目から逃げようと本を読んでいたら、こっこが話しかけてきた。
「あれは嘘ですか、本当ですか」
疑いたくなるのはわかる。
そして、俺に確認するのも。
俺は確かめるために、叶花のほうを見る。
叶花は自分で蒔いた種だからか、申し訳なさそうに笑っている。
「本当。体が弱いってのも」
「そうですか」
俺が言うのもなんだが、ここで冷たくするのは友達としてどうなんだ。
「さくら、どうしてもっと早く言ってくれなかったの?」
なんて思っていたら、こっこは叶花にそう言った。
これは怒ってる……のか?
「こっこに心配、かけたくなくて」
叶花は苦笑した。
これは本心だろう。
それに、自分から言うようなことでもない。
自分は病気だと言いふらす人が、どこにいる。
すると、こっこは大きくため息をついた。
「バカだとは思ってたけど、さくらって本当にバカだね」
辛辣だな。
その通りだとは思うが。