Y大学の医学部なんて、そう簡単に行けるところじゃない。


でも、結斗さんはそこに現役合格した。



これを賢いと言わず、なんと言う。


天才か?



「……余裕なくせに」



叶花は頬を膨らませて、なにかを呟いた。



「は?」


「私知ってるんだからね、蓮くん! 蓮くん、本当はT高校の理数科に合格できるくらい賢いのに、K高校選んだこと!」



……なにを言い出すかと思えば。



俺が余裕だって?



……その通りだよ。



K高校を選んだのは、叶花が通っているからだ。


今は休学になってるけど。



病気で休むことが多かった叶花が高校受験ができたのは、偶然その時期に体調がよかったから。


勉強は母さんとか、ここの看護師たちが時間あるときに教えてたけど、叶花の頭を考えるとたぶんギリギリ合格。



だから、どうして合格できたのか、俺は不思議でならなかった。



まあそれは置いといて。



叶花は最初の一ヶ月は高校に通えた。


そのときは毎日楽しそうだった。