「どこで出会ったの?」
「K川に架かってる橋の上! あのときの蓮くん、橋から落ちそうな感じだったんだよ」
別に、そんなつもりはなかったが。
周りから見ればそうだったのかもな。
「ねえ蓮くん」
だから、本を読ませろって。
「私、今年も外出許可取れないの」
……なるほどな。
叶花が言おうとすることがわかり、俺はページをめくりながら返す。
「明日でいいか」
「うん! お願いね!」
叶花が俺にお願いしたこと。
ただ、花の写真を撮ってくるだけ。
自分の目で本物を見るのが一番らしいが、それは叶わない。
スマホとかで画像を見ればいいと思っても、叶花はスマホを持っていない。
それだけのためにお金使わなくていい、と義母に言っていた。
……だからって俺を使うな。
と思っても、こいつに逆らえないのが翔太さんの呪いだ。