「ありがとーございます」


「棒読み!」



なんて叶花のツッコミを受けながら、室内は拍手に包まれた。



「ショートケーキだ! 美味しそう」



渡されたケーキに、叶花はテンションを上げた。



……よし。



「叶花、俺の分も」


「食べないよ」



……好きなんだろ、食えよ。



「今日は蓮くんの誕生日会なの! 主役が食べなきゃ意味ない!」



その主役は甘いものが苦手なんだよ。


知らないわけじゃないだろ。



「あれ? 芽生ちゃん、食べないの?」


「あとでいただきます。では、仕事があるので」



杉崎さんは一切れのケーキが乗った皿を持って、出ていってしまった。



「こんなときくらい、サボればいいのに」


「本当、杉崎って真面目」



おいこら、そこの先輩二人。


俺からしてみれば、母さんたちのほうがどうかと思うぞ。



「少しは息抜きしなきゃやってらんないってのに」


「見てるだけで息が詰まりそう」


「ねえ、二人とも。悪口大会はよそでやってね?」